民事信託
土曜日は東京で民事信託の研修を受け、日曜日はFP1級の試験を受けてきました。
さて、皆さんは民事信託、家族信託という言葉を聞いたことがありますか?
信託と言ったら信託銀行、投資なんて言葉を思い浮かべると思います。
民事信託や家族信託とは、信託銀行や信託会社が営利目的でやるのを商事信託と呼んでいるので、それに対して営利目的でなく、家族など信頼できる人に財産を託して、管理してもらう新しい財産管理方法なんです。
84年ぶりに信託法が改正されて、平成19年から新信託法が施行されています。
この改正で家族などに財産管理を任せるといった、今まであまり使われてこなかった信託が利用しやすくなりました。
信託の始まりは、中世ヨーロッパの赤十字軍の兵士が遠征に行く際、友人に自分の土地管理してもらい、残された妻子に収益を渡してもらうということをしていたのが始まりと言われています。
なので家族などの信頼できる人に財産管理を任せるというのが信託本来の姿なのかもしれません。
なぜこの信託に注目しているかというと、今まで遺言では限界があった財産承継や事業承継が信託の契約を結ぶことによって、解決できる案件があるからです。
今私の業務の中でも、社会的にも問題になっているのが高齢社会です。
長生きするということは素晴らしいことではあるのですが、それに伴い認知症等によって自分の財産管理ができなくなるケースが増えています。
先月も不動産の売買が決まったから手続きをして欲しいと依頼を受け、本人確認をしようとしたところ、不動産の名義人の方は既に寝たきりになっており、代わりに子供が契約などの手続きをしていることがわかりました。
今、銀行などどこの業界でも本人確認が厳しくなっています。
本人の判断能力がない以上、不動産の売買も自分の銀行口座からお金をおろすこともできません。
不動産の売買の件については、既に判断能力がない以上、売却するのであれば成年後見制度を利用するしかないのですが、一昨年の統計を見てみると、親族以外の第三者が選ばれる割合は全体の7割以上になっています。
第三者が後見人に選ばれた場合は、弁護士、司法書士、社会福祉士の3者になるケースがほとんどです。
第三者が選ばれた場合は費用が発生しますし、この制度は判断能力がない方が亡くなるか、判断能力が回復するまで続きます。
判断能力が回復するということはほとんどないと思いますので実質亡くなるまでということになります。
不動産の売却の件も後見制度の説明をしましたが、売却はやめる方向になってしまいました。
成年後見制度も予め契約で後見人となる人を契約で決めておくこともできますし、遺言や新しい信託を利用して事前に対策をしておくということがかなり重要な時代になってきました。
本当は研修でやった信託について書こうと思ったのですがだらだら書いてしまったのでまたの機会に書いてみようと思います。