成年後見
成年後見制度とは
成年後見制度は精神上の障害(認知症、精神障害、知的障害など)により判断能力が不十分となってしまった方の支援するための制度です。
後見人の仕事としては大きくわけて2つあり、財産管理と身上監護の2つがあります。
ここでいう身上監護とは実際に介護をしたりすることではなく、施設入所のための契約締結や福祉サービスを利用するための手続き等、本人の生活や健康に配慮して、安心した生活が送れるようにするための手続きを行うことをいいます。
また、この制度を利用しておけば悪質な訪問販売などで契約させられてしまっても契約を取り消すことができます。
日用品の購入など日常生活に必要な物の購入などは本人が自由にできます。
成年後見制度は大きく分けて2つあり、「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
法定後見制度とは
法定後見制度とはすでに認知症等により判断能力が低下している場合に利用する制度です。
本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3類型に区分されます。
後見が一番症状が重い人になります。
本人または配偶者、四親等内親族、市町村長等が家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が後見人を選任します。
この制度の当初は配偶者や子供など親族が選任されるケースがほとんどでしたが平成27年度の資料によると親族が選ばれるケースは全体の3割以下まで減っており、7割以上が司法書士等の第三者後見人が選ばれています。
将来的に自分が認知症等になって判断能力が低下してしまった場合は、この人にお願いしたいという家族や友人等がいれば任意後見契約をしておくことが必要です。
申立に必要な書類
取得が必要な書類(すべて3ヶ月以内のもの)
・本人の戸籍謄本
・本人の住民票
・後見人等候補者の住民票または戸籍の附票
・申立人が本人の4親等内親族がわかる戸籍謄本
・本人の後見の登記がされていないことの証明書
※窓口で取得する場合は神奈川県内は横浜地方法務局戸籍課のみです。郵送は東京法務局民事行政部後見登録課
・医師の診断書および診断書附票
・推定相続人の同意書
その他作成が必要な書類
・申立書
・申立人照会書
・本人の状況照会書
・後見人等候補者照会書
・財産目録および収支予定表(裏付ける資料の添付が必要)
申立に必要な費用
手数料
上記書類の収集、作成から家庭裁判所への同行面談を含め10万円~
実費
①収入印紙3400円(申立手数料800円、登記手数料2600円)
※保佐開始、補助開始で同意を要する行為の定めや代理権の付与を求める場合はそれぞれ別に800円が必要になります。
②郵便切手(横浜家庭裁判所管轄)
後見開始 3430円(500円3枚、82円10枚、50円20枚、10円10枚、1円10枚)
補佐・補助開始 4480円(500円5枚、82円10枚、50円20枚、10円15枚、1円10枚)
③鑑定費用
鑑定が必要になった場合は5万円~10万円の費用が発生します。
※補助開始の場合は原則不要
任意後見制度とは
任意後見制度は法定後見制度と違い本人はまだ判断能力がしっかりしているが、将来認知症等により判断能力がなくなった場合に備えて、後見人となってくれる人を予め契約によって決めておく制度です。
現状から考えると親族が後見人になっているケースが3割以下ですので、配偶者や子供など家族で後見人になってもらいたい人がいれば事前に任意後見契約で決めておくことで予期せぬ第三者が後見人になるという事態を防ぐことができます。
判断能力が低下して家庭裁判所で手続きをするまでは任意後見契約の効力は発生しないのでその前から支援が必要な場合は財産管理等委任契約が必要です。また、後見制度は本人が死亡するまでの制度なので死亡した後のこともお願いしたいことがあれば別途死後事務委任契約をする必要があります。
本人の判断能力が低下してきて、任意後見契約を発効させるには家庭裁判所で後見人を監督する後見監督人を選任してもらうことで予め決めていた後見人の職務が始まります。家庭裁判所は後見監督人を通して後見人を監督することになります。
必要な書類
任意後見契約は公正証書で作成しなければ効力が生じません。公正証書にするには以下の書類が必要になります。
・本人の戸籍謄本
・本人の住民票
・本人の印鑑証明書
・任意後見人となる方の印鑑証明書
・任意後見人となる方の住民票
※すべて3ヶ月以内のものをご用意ください
作成に必要な費用
報酬
任意後見契約作成 10万円~
見守り契約+任意後見契約 12万円~
財産管理等委任契約+任意後見契約 14万円~
任意後見人に就任した場合 月額2万円~
見守り契約 月額5000円~
実費
公証人手数料 1万1000円
法務局に収める印紙代 2600円
法務局への登記嘱託料 1400円
その他、郵送料、正本謄本作成代が必要になります。